ドローンが高齢者の生活とつながったら、限界集落は変わるかもしれない
国際ドローン展の続きです。MIKAWAYA21(東京)は「みかわやにじゅういち」と読みます。ドローンの下にあったボックスには食パン、牛乳パックなどが入っていました。楽天、イオンなどが千葉市の特区で進めているドローン宅配と同じ。とも思ったのですが、彼らとは発想のアプローチが違っていました。
会社名は漫画のサザエさんに登場する御用聞きの「三河屋」からとったそうです。簡単にいえば高齢者に対する人的サービスの会社です。
蛍光灯を取り替える、ペットボトルの蓋を開ける。高齢者にとってはこうしたちょっとした作業が大変で、不自由な暮らしを余儀なくされる場合があります。
この会社は、高齢者に何か困ったことがあったら自宅に出向いて、すぐに電球を替える、そんなサービスを展開しているのです。サービスは有料で30分500円。
ユニークなのはサービスの拠点は地域の新聞販売店という点す。すでに全国311のエリアでサービスを展開しています。
同社はこのサービスに加えて、高齢者に向けてドローンによる宅配を行う事業計画を進めているのです。今年2月には徳島でテスト飛行を行いました。
ドローンは新しいハードですが、ハードを開発するのか、ハードを売るのか。ドローンを使ったサービスを展開するのか。あるいはハードとサービスを一体化した事業を行うのか。まだ他のビジネスモデルもあるかもしれませんが、その立場、発想によって出てて来る「解」はまったく異なってきます。まだ「解」はたくさんありますね。
ドローンだからできることは。まだまだあります
ドローンに何ができるのか。やれることはたくさんあるでしょうが、とりあえず気になったドローン(国際ドローン展)を紹介します。細かな話は後ほどアップ予定。
燃料電池搭載のドローン(自律制御システム研究所)
水素を搭載した燃料電池で発電。ドローンを飛ばします。リチウムイオン電池搭載のドローンは飛行時間は数十分程度。燃料電池ならさらに長時間、飛行できるというわけです。
VTOL型ドローン(自律制御システム研究所)
ヘリコプターのように垂直方向に離着陸できると同時に、後ろに取り付けたプロペラで飛行できます。構造がシンプルなため安全性も高いということでした。重い荷物を遠くまで運ぶことが狙いです。
特定ドローン捕獲用の大型ドローン(プロドローン)
特定のドローンを捕獲する装置を搭載しています。ドローンの機体の下にネットランチャーを装備。特定ドローンを自動追尾し、ネットランチャーを発射して捕獲します。
3次元マッピングシステム(アルゴ)
レーザーを照射することで3次元マッピングを実現します。レーザーは水平方向360度で、上下角度は30度です。この条件内にあるものにレーザーを照射。3次元構造物をリアルタイムで描くことができます。
写真の3次元マッピングは幕張メッセの国際ドローン展の会場。台車の上に3次元レーザー装置を載せて、展示会場を歩き回りながらマッピングしていました。
水中撮影から天井のひび割れまで見つけるドローンたち
第2回国際ドローン展(幕張メッセ。4月22日まで)には、いろんな産業用ドローンが展示してありました。制御技術などにも特徴があるのでしょうが、コアになる用途をどうやって掘り起こすか。そこにドローンの将来がかかっています。
今回紹介するのは産業用ドローンメーカーのプロドローン(名古屋市)が開発したドローンです。用途がバラエティに富んでいたので印象に残りました。その中からいくつかピックアップしました。
全天候型のドローン。放送業務用の大型カメラを搭載。安定した撮影が可能になるそうです。
天井に張り付くドローン。パナソニック、AVCネットワークス社向けに開発した自走型平面検査専用機。天井にぴたりと張り付き、タイヤで自走しながら天井の検査を行います。0.1ミリレベルのクラックも検出できるそうです。
水中撮影も可能なドローン。完全防水モーターを装備しているため水面に着水して移動できます。
ドローンのコンセプトモデル。重い荷物を搭載して遠くまで運ぶドローンを目指しているそうです。
医療関連の分野にどんな新ビジネスモデルがあるのか、見たい!
4月20日から幕張メッセと東京ビッグサイトで、それぞれ別のイベントがあります。どっちも興味があるのですが、掛け持ちは難しいので東京ビッグサイトで開催される「ジャパンライフサイエンスウィーク2016」を優先することにしました。
主催者(UBMジャパン)によれば、「製薬業界」そして「医療機器業界」を代表する11の国際B2Bイベントを集約し、「ジャパンライフサイエンスウィーク2016」として開催する、としています。「MEDTEC Japan」もその中のひとつとして行われるということでした。
最近、医療機器や医薬品とは無縁だった企業がこれら業界に参入しています。IT、エレクトロニクスはもちろん、機械、ロボット、素材などなどの企業たちです。
厚生労働省、経済産業省も法律のハードルを多少低くして、異業種企業の参入を促してきました。
果たしてどんな新しいビジネスモデルがあるのか、ないのか。確かめてみたいと思います。
鉄と炭、腐葉土で海の生物を復活させるーー研究は終わらない
群馬工業高等専門学校の特命教授だった小島昭氏からメールが届きました。今年3月末で高専を退職し、NPO法人小島昭研究所を設立したとのことでした。
小島氏はとにかく実践的な研究者です。取得した特許は「アスベスト含有複合材のアスベスト無害化方法」「水質浄化材および人工藻並びにそれらの製造方法」「し尿排水中のリンの除去方法および除去装置」など数多くあります。
代表的な技術は鉄、炭素繊維、炭、腐葉土などを組み合わせる技術です。炭素繊維で作る人工藻。あるいは腐葉土や炭を入れた袋を鉄枠製の籠に入れた資材を湖や海に設置し、水質を改善し生物を復活させます。
東日本大震災で被害を受けた岩手県山田町ではカキの養殖に成果をあげました。
初めて小島氏と会った時は印象的でした。前橋市の群馬高専を訪ねると、すぐに「出かけましょう」と榛名湖へ行き、当時、設置していた炭素繊維の人工藻を案内してもらいました。
研究者としてのパワーは当時も今も変わらない、改めてそう思いました。
今後はNPO法人を中心に新たな技術の開発、技術普及などを行い、同時に子どもたちに科学技術のおもしろさを伝える活動を行っていくそうです。
特定非営利活動法人 小島昭研究所のURLは以下の通りです。
より厳しい船の排ガス規制が2016年からスタートしたが・・・
IMO(国際海事機構)の第3次NOx規制が2016年1月からスタートしました。これは船用ディーゼルエンジンのNOx排出量をさらに厳しく規制した国際的な取り決めです。対象になるのは2016年1月1日以降に建造される船です。
この規制はECA(特別海域)と呼ばれる海域にある船に適用されます。現在は北アメリカの海域などがECAに指定されていますが、今後、北海やバルト海などにも広がるといわれています。
NOx対策の技術としてはSCR(選択式触媒還元)、EGR(排ガス再循環)などがあります。先行しているのはSCRです。排ガスに尿素水を噴霧しアンモニアを生成。さらに触媒によってアンモニアを窒素と水に分解して無害化し、大気に放出します。
(日立造船のブースにて)
(ヤンマーのSCRパネル)
SEA JAPANでは日立造船、ヤンマー、ダイハツディーゼルなどがSCRをアナウンスしていました。
もっとも対策設備の本格的な受注はこれからです。なぜでしょうか。
第3次NOx規制は前述したように2016年1月1日以降に建造した船が対象になります。このため2015年中に船を発注、起工する船主が数多くいました。規制を避けるための駆け込み需要です。これは数字にはっきりと表れています。
日本船舶輸出組合によれば、2015年の輸出船契約実績は前年比約5割増の2222万1575総トンと発表しています。一方、2016年1月の受注契約は実質的にはゼロということでした。
来場者はむしろ中国景気の減速による影響のほうが気になっているようです。自動車と違って船の環境対策はまだまだ時間がかかりそうです。