客室の電気を太陽光と水素で賄う「変なホテル」。ハウステンボスの狙いは
ハウステンボスは太陽光発電の電力を使って水を電気分解。発生した水素で燃料電池を動かすシステムを「変なホテル」に導入し、今年3月から運用しています。ホテルの客室の一部、12室の電気を太陽光発電とこのシステムで賄っているのです。
システムは「H2One」と名付けられています。東芝が開発しました。なんで、ハウステンボスが導入したのか。スマートコミュニティJapan 2016で開かれたセミナーでそれが分かりました。
(変なホテルに導入されたH2One。後ろのコンテナの中に収められている)
先にこのシステムの大まかな説明しておきます。主な設備は太陽光発電、蓄電池、電気分解水素製造装置、水素貯蔵タンク、燃料電池で構成されています。
なんでこんなにいろんな装置があるかというと、季節によって運用を変えているからです。
通常は、太陽電池で発電した電力をそのまま居室へ供給します。一部、余った電力は蓄電池にためておき、必要に応じて供給します。
さらに、あまった電力を使って水の電気分解を行い、発生した水素を貯蔵。この水素で燃料電池を駆動し、その電力を居室へ供給します。燃料電池で発生した熱は温水つくりに利用し、これも居室で使います。
電力の需要や供給は季節によって変わります。夏から秋にかけては太陽光発電の電力の供給が需要を上回るので、あまった電力は水の電気分解に使い、水素として貯蔵しておきます。
秋から冬は太陽光発電の供給が需要を下回るので、貯めておいた水素を使って燃料電池で発電。その電力で不足分をカバーする、という仕組みなのです。
システムはよく工夫されているのですが、実は私がもっとも驚いたのはH2Oneを実際に顧客が宿泊する客室で利用していたことです。
ホテルはサービス業です。できるだけリスクは避けて、安定したシステムを選ぶというのが多いのではないかと、思ったからです。
しかしハウステンボスはそうはしなかった。もちろん、何か起こった時のバックアップをちゃんと整備しているからこそ導入できるのですが。
ハウステンボスはどんな狙いで再エネだけのエネルギー利用を考えたのでしょうか。
(つつく)