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うつ病の症状が簡単に判定できる血液検査法を開発、群馬大学

 人の健康がいまどんな状態にあるのか。肉体的にはどうなのか、精神的には?

 そんな情報を正確に測定するためのツール、デバイスの開発が進んでいます。数値で把握するのが難しい精神科の領域にも、それは広がっています。

 群馬大学大学院医学系研究科の助教、宮田茂雄氏はうつ病の症状を判定する血液検査方法を研究、開発しました。白血球中の、ある特定のmRNAメッセンジャーRNA)の量を測定することで、抑うつの程度を客観的に判定する方法です。
 検査方法のポイントは血液中のmRNAの量で、うつ病の症状を測定できること。しかも検査に必要な血液は非常に少なくてすむことです。
 群馬大学山口大学で50歳以上のうつ病患者の血液をこの方法で検査したところ、抑うつ状態で特定のmRNAの量が増えることが確かめられました。
 すなわち、患者がどのくらい症状がよくなっているのか、悪いのかが数値で判断できるわけです。

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 うつ病精神科医の問診によって診断されますが、PET(陽電子放射断層撮影)、NIRS(近赤外線分光法)などの補助的な診断装置も使われるようになっています。ただし、これらの装置が、どの病院にもあるわけではありません。

 それに比べて、血液検査で診断するこの方法はある意味、画期的な補助ツールともいえます。

 この発表は6月2日にJST科学技術振興機構)で行われました。