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武末高裕のECOTECH PRESS 技術を見に行く

環境技術と環境ビジネスの少し先を読む

海外輸送でも傷まない、イチゴ1個の専用容器が市場へ

 すぐにでも欲しいという企業がいくつもあるとの話でした。イチゴを1個だけ入れて固定する透明な容器です。なぜこんな容器を作ったのか。その訳はパンフレットの「イチゴの傷みを防ぐ」「逆さにしても外れない」とのコピーからもうかがえます。
 イチゴは指で触れただけでも傷むことがあるほど、デリケートな「超軟弱菜果
」です。輸送中に痛むケースもあり、それを防ぐために、この容器が開発されました。

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 この容器に入れたイチゴをフランスまで空輸。途中、検疫などのため、店頭に並べられるまでに日本を発ってから約10日かかりました。しかし、イチゴの品質には何の問題もなかったと報告されています。輸送中の振動や衝撃など、数々の試練に耐えたということでしょう。
 試しに容器を手で揺らしました。中のイチゴは僅かに左右に揺れますが、容器に接触することはありません。
 容器は透明なキャップ、クッション、イチゴ固定インナー、底に相当するアウターのパーツからなっています。ポイントはイチゴを固定するインナーの構造です。イチゴとインナーの間にはクッションを挟み、摩擦による傷みを抑えます。その後で、アウターに入れ、上から透明キャップをかぶせれば完了です。イチゴをインナーに挿入するのがミソですが、この作業時間は数秒ぐらいとのテスト結果がでています。
 開発は宇都宮大学工学部教授の尾崎功一氏、農学部准教授の柏嵜勝氏らのグループです。農業と工業が連携して誕生したわけです。
 イチゴの高級品志向は強く、1個数千円という高額イチゴも出荷されています。市場は国内だけでなく、海外にもあります。

 固定型容器の値段は現状は三桁。量産が進めば二桁になるとのことでした。通常の容器に比べたらかなり割高ですが、高級イチゴ市場を想定すると十分、ニーズはあると見ています。
 開発グループは11月に大学発ベンチャーを申請。容器メーカーも決まっており、法人の認可がおりれば、すぐにでも事業が動き出すそうです。
 農水省は「日本再興戦略」の一環として、農作物の輸出に力をいれています。この容器もこの戦略の中にあります。農山漁村再生可能エネルギー、植物工場、IT農業など、企業にとって農業参入のチャンスはたくさんあります。このあたりのシナリオをどう読めばいいのか。近々、PDFマガジンとしてレポートにまとめます。スケジュールが決まれば、お知らせします。