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細菌レベルの小さなミストで害虫駆除、除菌。農商工連携事業

 家庭用の加湿器に見えますが、販売元の(株)のなかは「世界最小の微小液体粒子」の発生装置とアナウンスしていました。ミストのサイズは0.2〜0.4マイクロ㍍が9割を占めています。データは計測分析装置のマルバーン社の測定値ということでした。細菌とほぼ同じくらいのサイズなんだ。

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(奥に見えるのが試作中の噴霧装置。手前にあるのがシリンダー)

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(シリンダーの中。中央の孔から噴霧。フタにあたって外へ放出されます)f:id:take4e:20160629205408j:plain

(フタです)

 この製品は宮崎県の、のなか、ウィズダム、テクノマートの3社による農商工連携事業です。平成27年度に農水省経産省の新連携支援制度の認定を受けています。
 どうすればそんなに小さなミストができるのか、当然知りたくなります。構造はいたって簡単です。筒状のシリンダーの中央に棒状のノズルがあります。この中に空気を供給するとシリンダー内の液体がノズルに押し込まれ、先端から噴霧されます。

 この時、霧がフタにあたって大きな粒子は落ちて液体に戻り、細かな微粒子だけがフタの隙間から外へと放出される、そういう構造になっているそうです。
 資料データを見せてもらうと、宮崎県農業試験場の実験がありました。ピーマンを実験ハウス(容積は75リットル)内に入れ、そこに害虫のタバココナジラミを投入し、付着状態を調査しています。

 この装置を使ってハーブ系の忌避剤を2時間で2cc噴霧した場合は、タバココナジラミはほぼいない状態になったそうです。噴霧しない場合は、大量のタバココナジラミが付着していた、とありました。農業では農薬など、薬剤の使用量を減らせる可能性があります。
 装置の発売は今年秋を予定しています。医療や介護施設などで除菌、殺菌といった使い道もありそうですね。