銅箔から見える日本市場のこれから
写真は古河電工の電解銅箔です(高機能金属展)。2枚の写真は一見似ていますが差はあります。光沢のあるもの、ないものがその違いです。
「光沢あり」は電池用の電解銅箔。リチウムイオン電池の負極集電体に使われています。リチウムイオン電池は電気自動車、プラグインハイブリッド車、さらには工場、家庭の蓄電池などに使われ、ますます市場を拡大中です。
もう一方の「光沢なし」はネット用のサーバー、ルーター、携帯電話の基地局などの高周波基板用の電解銅箔です。
光沢がないのは表面に超微細な銅の粒子が付着しているため。こちらは高付加価値の製品用途向けとして期待されています。電池用途の銅箔は量で稼ぎ、基板用は高付加価値で稼ぐとの戦略です。
古河電工は電解銅箔の生産を台湾にシフトし、国内は開発主体へと切り替えているそうです。電解銅箔は製造段階で電気を大量に消費するため、電気代の高い日本では「3.11」以降、さらにコスト的に厳しくなっているようです。
銅箔1枚からでも、日本の市場構造のこれからが透けて見えます。