アトピー性皮膚炎を抑える甲羅のキチンナノファイバーの論文が公開に
<気になるニュースリリース>
海産資源由来ナノ繊維はアトピー性皮膚炎の進行を抑制する ~キチンナノファイバーのアトピー性皮膚炎予防・治療などへの応用に期待~
以前から話題になっていた研究ですが、ニュースリリースとして3月末に発表されました。よく読むと、論文が公開されたとの内容でした。
鳥取大学の農学部・東和生助教らと工学部・伊福伸介准教授らの研究グループが明らかにした、カニ・エビ殻を原料とする極細繊維、キチンナノファイバー(キチン NF)塗布によるアトピー性皮膚炎の進行抑制効果に関する論文が、公開されました。オンライン科学誌「Carbohydrate Polymers」(Elsevier B.V.社)に公表されています。
掲載論文
題名: Chitin nanofibrils suppress skin inflammation in atopic dermatitis-like
skin lesions in NC/Nga mice (和訳:キチンナノファイバーはNC/Ngaマウスにおいてア
トピー性皮膚炎様の皮膚損傷を抑制する)
掲載雑誌名:Carbohydrate Polymers
参考ホームページ
http://dx.doi.org/10.1016/j.carbpol.2016.03.068
キチン NF を塗布することで、アトピー性皮膚炎の症状の進行が抑えられ、かつ皮膚の炎症の進行も抑えることが、動物実験によって確認されました。しかし従来のキチンには、これらの効果は認められませんでした。
つまり、ナノファイバー(極細繊維)という形態が、皮膚のバリア機 能の維持を可能にしていることが考えられる、としています。
キチンナノファ イバー(キチン NF)は殻の主成分であるキチンをナノファイバーとして取り出したもので、幅が約10ナノメートルの極細繊維です。
キチン NF によって、皮膚炎の症状悪化を予防したり、薬と組み合わせ治療のために使用する、あるいは薬からのリバウンドを予防するために使用するといった応用が期待されます。それにより、使用する薬の量・頻度を減らすといったことが可能になるかもしれません。
●カーボンナノチューブ、セルロースナノファイバーもそうですが、ナノ化した素材は様々な機能を発揮します。ナノは不思議です。