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課題はたくさんあるけれど、そのユニークさに目を奪われるロボットたち

まだ解決できない問題があった原発事故作業ロボット

 先週はロボット展に行ってきました。探査、救急、極限作業、福祉、医療、生活支援、エンタテイメントまで、幅広い分野のロボットが集結していました。
 やはり展示されていたのがサイバーダインのCEOで、筑波大学の山海嘉之教授が開発したロボットスーツ、HALです。間違いなく、このロボットスーツは未来を先取りしています。

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原発事故作業用に改良したHAL。背中にあるのがクーリングシステム。
 
 昨年公開された、原発事故の現場で作業するためのHALも展示されていました。顔面はフルフェイスのヘルメットで覆われ、上半身は放射線防護装置でカバーしています。ガンマ線被爆量を約5割ぐらい低減できる性能があります。
 作業者の体温上昇を抑え熱中症を防ぐクーリングシステム。健康状態をつねに監視するためのバイタルセンサも取り付けてあります。心拍数、体温などの生体生理情報をリアルタイムにモニターし、異常があれば作業を中断することになるのでしょう。
 下肢には歩行アシスト用のパワーユニットを装着。2時間以上の連続作業が可能なバッテリーが装着されています。
 現在はテストを繰り返し、検証を続けいるそうです。いつでも実践に投入できるような雰囲気がありますが、まだクリアしなければいけない問題もありました。原発事故の汚染エリアで使用すれば、ロボットスーツ自体も放射能に汚染されます。作業着のように使い捨てというわけにはいきません。
 これにどう対応するか。ロボットスーツの表面を薄いフィルムで覆って、作業が終われば剥がして捨てるといったアイデアもあるそうですが、決定的ではありません。どんな解をサイバーダインは出すのでしょうか。

素早く動く球を止まっているかのようにとらえる映像システム

 アイデアはシンプルだけど、ユニークだったのが1msオートパン・チルトです。東京大学情報理工学系の石川・奥研究室が開発しました。ピンポン球など、高速で動く物体がつねに止まっているかのように動画を撮影できるシステムです。
 ビデオカメラで追尾するわけではありません。高速で動いているものを追尾するのにカメラは大きく、重すぎます。代わりに数センチサイズの小さな鏡を使います。激しく動く球を鏡を動かして追尾するのです。
 鏡でとらえた像はハーフミラーで2つに分けられ、同じ映像を2台のカメラが受けます。
 1台は1秒間に1000フレームを撮影できるハイスピードカメラです。動く物体が鏡に映ったら、その像をハイスピードカメラが受けて、その動作情報をPCで解析し、指令を出して、物体がつねに中央に映るように鏡の角度を変えていくのです。
 もう1台はフルHDのカメラ。これで鏡に映った像を撮影し、モニターに再生するわけです。
 撮影した映像を見ると、高速で動く物体がほぼ中央にあり、周囲の映像が動いている、そんな風に見えます。この映像システム、どう使ったらいいのか。楽しみです。

ランダムに置かれた部品を素速く掴めば、工場の海外移転も減る

 熱心な見学者に囲まれていたのが、3次元メディア(滋賀県草津市)が開発したロボット用3次元ビジョンセンサです。2年に1度開催されるロボット大賞の最優秀中小・ベンチャー企業賞(2012年)を受賞しています。
 簡単に説明すると、形は同じワーク(部品)ですが、ばらばらに無造作に置かれた中から、作業用ロボットがワークを1個掴んで、レールの上に置く動作を、繰り返していました。
 ワークを認識して掴むまでのスピードは結構、速いです。デモでは0.5秒程度で認識していると説明員は話していました。一瞬、迷ってしまうような動作をすることも、たまにありましたが、おおむね素速く掴んでいました。
 ポイントは2個のカメラでワークを3次元の形状として、素速く認識するアルゴリズムの開発です。1システムの価格は350万円程度。汎用性があり、現在はデンソー、三菱電機、川崎重工安川電機、ABB、不二越のロボットに対応しているとのことでした。

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 ランダムなワークを認識して掴む。これがいま、産業用ロボットではホットなテーマのひとつです。
 産業用ロボットは工場現場の様々な工程に導入されていますが、ランダムに置かれたワークを掴み、所定の作業台などへ載せるといった作業の自動化は遅れています。ここはまだ人手に依存しているのが実情なのです。
 こういったランダムな作業をロボットで代替できれば、ラインの効率化は大幅に進むでしょう。製造部門の海外移転を抑えるのに役立つかもしれません。