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技術の現場から技術の先を読む    by MediaResource

病院も「カイゼン」でコストダウン。ただし看護は手厚く安全に。

 今年の「国際モダンホスピタルショウ2016」(主催:一般社団法人 日本病院会一般社団法人 日本経営協会)は7月13~15日に、東京ビッグサイトで開かれます。その特別企画である「第9回 こんなものを作ってみました!看護のアイデアde賞」の授賞作品が5月9日、発表されました。
 「看護のアイデアde賞」は医療従事者による現場ならではの画期的な改善の工夫やアイデアを審査し、特に優れているものを表彰しています。以下は今年の授賞作品です。

■グランプリ : 多機能枕カバー「りくつな枕カバー」
受賞団体:金沢市立病院(石川県)
■準グランプリ : 姿勢保持ベルト「どすこいサポート」
受賞団体:春日井市民病院(愛知県)
■準グランプリ : モニターコードカバー「オールインワン蛇管」
受賞団体:社会医療法人若弘会 若草第一病院(大阪府
■手放せない de賞 : バイアル瓶キャップ開栓器具「さっとポン」
受賞団体:角水医院(京都府
■心地いい de賞 : 簡易体幹保持サポート「体幹キャッチ!」
受賞団体:医療法人社団三思会 くすの木病院(群馬県
■I T de賞 : ケア情報共有ツール「e-ケアメモ」
受賞団体:新潟大学高崎健康福祉大学訪問看護ステーション、
すなやま訪問看護ステーション、近畿大学群馬県立県民健康科学大学

 2016年のグランプリは金沢市立病院の「りくつな枕カバー」です。ベッドを上げ下げしても枕がずり落ちず、手回り品も収納できる多機能枕カバーです。「りくつな」とは金沢弁で便利とか、巧みだ、そんな意味だそうです。

 このイベント、かなりユニークです。これは病院版のQCサークル活動、カイゼン活動の一環とみることができるからです。
 今年の授賞作品はまだ見ていないので、去年の例で説明しましょう。2015年のグランプリは社会医療法人若弘会若草第一病院の「洗ってネット」でした。釣り道具屋で売っているような「たもあみ」の中にビニール袋を入れ、柄の部分にはプラスチックの板を取り付けてありました。これでストレッチャーに固定するのです。

 使い方は簡単。事故などで怪我をした患者を処置する際に洗浄した排液やガーゼなどを「洗ってネット」の中に入れます。処置が終わればビニール袋ごとすぐに処理できます。コストも安く、しかも安全、簡単に処理できるのです。

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(2015年のグランプリ「洗ってネット」)

 この賞の狙いは「病院経営を支える医療安全とコスト管理」にあります。最先端医療には高価な医療機器が不可欠です。しかしその一方で、こうした地道な現場の活動が行われています。

 それだけ病院経営は難しい時代にある、と言えるでしょう。