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より厳しい船の排ガス規制が2016年からスタートしたが・・・

 IMO(国際海事機構)の第3次NOx規制が2016年1月からスタートしました。これは船用ディーゼルエンジンのNOx排出量をさらに厳しく規制した国際的な取り決めです。対象になるのは2016年1月1日以降に建造される船です。

 この規制はECA(特別海域)と呼ばれる海域にある船に適用されます。現在は北アメリカの海域などがECAに指定されていますが、今後、北海やバルト海などにも広がるといわれています。

 NOx対策の技術としてはSCR(選択式触媒還元)、EGR(排ガス再循環)などがあります。先行しているのはSCRです。排ガスに尿素水を噴霧しアンモニアを生成。さらに触媒によってアンモニアを窒素と水に分解して無害化し、大気に放出します。

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日立造船のブースにて)

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(ヤンマーのSCRパネル)

 SEA JAPANでは日立造船、ヤンマー、ダイハツディーゼルなどがSCRをアナウンスしていました。

 もっとも対策設備の本格的な受注はこれからです。なぜでしょうか。

 第3次NOx規制は前述したように2016年1月1日以降に建造した船が対象になります。このため2015年中に船を発注、起工する船主が数多くいました。規制を避けるための駆け込み需要です。これは数字にはっきりと表れています。

 日本船舶輸出組合によれば、2015年の輸出船契約実績は前年比約5割増の2222万1575総トンと発表しています。一方、2016年1月の受注契約は実質的にはゼロということでした。
 来場者はむしろ中国景気の減速による影響のほうが気になっているようです。自動車と違って船の環境対策はまだまだ時間がかかりそうです。