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技術の現場から技術の先を読む    by MediaResource

ロボットアームに装着すると、接合装置に変身するマイクロ射出成形機

 テーブルに載るコンパクトな装置を偶然、見つけました。機械要素技術展でのことです。といっても今年2月に新聞発表されていたので、単に私が知らなかっただけなのですが。

 装置はセンチュリーイノヴェーションが開発したマイクロ射出成形機です。このタイプの装置を見るのは間違いなく2度目です。

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(写真はセンチュリーイノヴェーションのマイクロ射出成形機。先端から溶融した樹脂を射出。右上にあるのはペレットの容器。先端のシリンダー部分が加熱されます)

 話を聞くと、その機構は独特でした。プラスチックの射出成形は小さなペレットを加熱し、金型に押し出して成形します。この装置の一番の特徴はペレットを加熱する際にIHを使っていることです。IHとは電磁誘導加熱(Induction Heating)。 IH炊飯器などで知られていますが、磁力線の働きで発熱させます。それを射出成形に応用したのです。

  スペック表では連続運転の最大温度が450度。通常でも300度までOK。樹脂の種類はポリプロピレン、ポリエチレン、ABSなど。スーパーエンジニアリングプラスチックにも対応。温度コントロールは1度単位と非常に細かく制御できるそうです。省エネ性も良くて、一般的な射出成形機に比べて100分の1のエネルギーですむとのことでした。

 川崎氏が開発した装置はもちろん射出成形機なのですが、もっと幅のある使い方を提案していました。たとえば、ロボットアームの先端に取り付けると、樹脂成形を応用した接合技術として使えるのです。2枚の金属の板に孔を開け、そこに樹脂を流し込んでボルトの代わりに固定する、そういった使い方も可能ということでした。

 電源は100ボルト。温度制御が簡単にできて、なおかつ省エネ。この技術は使い方次第で変身する可能性があります。

 すでに販売を始めています。値段は1台300万円程度です。