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いびつなまでに突出した太陽光発電の理由。

接続回答保留は太陽光発電に集中して申請があったから

 新エネルギー対策課長は何を語ったか。その3です。今回は接続回答保留になった直接的な原因である、系統への接続申し込みが急増した理由を整理しておきます。

 予想をはるかに超える事業者から電力会社に接続申し込みがあったのは、認定設備容量の数字を見ると明らかです。これはいろんな報道があるのでポイントだけ。

 FITがスタートした平成24年7月から平成26年3月末時点での認定設備容量は太陽光などすべて合わせて累計で6864.2万kWでした。これを2月末時点で見ると4120.5万kWです。すなわち、たった1カ月で2743.7万kWも認定容量が増加したのです。
 さらに、その電源構成がきわだって、いびつでした。3月だけの認定容量を見ると太陽光発電(非住宅)が2652.2kWと、全体の約96.6%を占めたのです。
 もともと太陽光発電が突出していることはFITがスタートした時点から変わらぬ傾向でした。年度末のかけこみでも、その傾向がそのまま現れたわけです。ということは、予想を超える接続申し込みがあった原因は突出した太陽光発電があったから、そう言い換えることができます。

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再生可能エネルギーの状況について。資源エネルギー庁資料)

 このことが太陽光発電の一人勝ち。FITは太陽光発電偏重だ、風力や地熱の他の電源をもっと優遇しろ。そんな意見が出る背景にもなっているわけです。
 9月24日に九州電力が接続回答保留を発表したのは、年度末の3月の1カ月間で1年分の申込み量に相当する、約 7 万件もの太陽光発電の接続契約申込みがあったからと、説明しています。こんなに集中したら、たまったものではない、というわけです。

接続検討の回答で3カ月。その後、系統連系の正式な申し込みに

 では、なぜ太陽光発電にそんなに集中して申請があったのか。直接的な理由がいくつか考えられます。
 ひとつは、10kW以上の太陽光発電の調達価格が36円から32円(いずれも税抜き)に4月1日以降、引き下げられることが決まっていたから。風力、地熱、バイオマス、水力の電源は一部、区分は変わりましたが、調達価格は基本的には変わっていません。
 太陽光発電の認定を受けたい事業者にとっては、調達価格の引き下げは自社の利益に直接跳ね返ってくるので見過ごせません。当然、高く買い取ってくれる時期に認定を受けたいと事業者は思うでしょう。だから、申請がふくれあがった、というのは納得できる理由です。

救済措置も申請に拍車をかけた

 接続申し込みの救済措置も申し込み増に拍車をかけたといわれています。太陽、風力、地熱、バイオマス、水力の電源がFITの認定を受けるためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
経済産業大臣の設備の認定を受ける。
・系統連系に関する契約の申込み書類を発電事業者が受領する。
 認定は国が行いますが、系統への接続は各地域の電力会社の担当です。
 まず、系統連系の申し込みについて説明しおきます。FITの認定を受けたい事業者は接続について2段階の手続きをする必要があります。
 最初に、電力会社に対して事前に接続検討の申し込みを行います。「接続検討」は系統の空き状況の確認や連系に関する工事などを検討するために必要ということです。
 電力会社は「接続検討」の回答を事業者に伝えます。事業者はその回答結果を踏まえてから、ようやく「連系契約の申し込み」を行うことができるのです。
 ところが「接続検討」の期間は最大で「3カ月」程度はかかると電力会社は説明しています。仮に3月末までに電力会社から接続検討の回答がないと、平成25年度内に「系統連系の申し込み」ができない事業者が出てくるわけです。
 そこで、経済産業省は電力会社に対して救済措置をとるように指示しました。FITの認定を受けたい事業者は「告示に規定する接続申込書」を3月末までに電力会社に提出すれば、平成25年度調達価格の扱いの対象にすると。ただし、事業者はあらためて「系統連系の申し込み」をする必要があります。
 同じことは平成24年度末にも起こり、やはり救済措置がとられました。しかし平成25年度末はさらに多くの件数が殺到しています。要するに別な要因があるわけです。それは太陽光発電の一部の運用が平成26年度から変わるから。それが理由と見られています。その運用とは何か。