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技術の現場から技術の先を読む    by MediaResource

新エネルギー対策課長はFITの接続回答保留問題で何を語ったか

 再生可能エネルギー市場は政策でどうにでもなる、官製市場です。政策の舵取り次第で状況は一変します。言い換えれば、まだ独り立ちできていない市場というのが業界の人たちの認識でもあります。
 それが突出して現れたのが今回の接続回答保留問題でした。九州電力をはじめとした電力会社が太陽光発電風力発電の接続申し込みに対して回答を保留すると発表したとき、業界関係者は驚き、混乱し、怒り、そして俺たちのビジネスはどうなるのか。将来への不安で頭がいっぱいとなったのです。ハシゴを外された、外されるリスクを抱えた彼らの怒り、不満は電力会社、そして国に向かいます。

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太陽光発電システムのパネルディスカッション)

 FITを作った国は、この問題をどうとらえ、どう対処しようとしているのか。ということで、10月23日、24日に、太陽光発電協会が主催した太陽光発電システムシンポジウムを取材しました。資源エネルギー庁の新エネルギー対策課長、松山泰浩氏がパネリストとして出席するからです。FITを仕切る現場の責任者です。
 こういう場ですから、本音は語らないとは思いますが、それでも何を彼は語るのか。みんな関心があったはずです。シンポジウムの司会者は誰よりも先に彼を指名しました。松山氏は冒頭からこの問題に言及しました。
「各電力会社のほうで接続保留問題がでてきて、ややもすると、再生可能エネルギーの導入がストップするのではないか。一部報道では大型太陽光発電は凍結するのじゃないか。いろいろな憶測が出ていますが、そういうことはございません。そのことだけは申し上げておきたいと思います。政府の方針は今年の4月の閣議決定にございますように、最大限導入を進めていく。前回のエネ基(エネルギー基本計画)にあるように、(再生可能エネルギーは)電源構成比で21%を超える高い水準を目標としていくことは、いささかも変わることはございません」
 発言のそこかしこに、関係者の不安を払拭したいとの思いがうかがえました。シンポジウムの参加者がそれで安心したかどうかは分かりませんが、パネリストの少なくとも2人は、彼の発言をフォローし、安心感を増幅させていました。なお、括弧内は私の注釈です。
 経済産業省は、総合資源エネルギー調査会の新エネルギー小委員会系統ワーキンググループで、この問題を含めた系統接続の議論を10月16 日からスタートさせています。それを踏まえて、松山氏はさらに次のように述べました。
「政府内の議論は再生可能エネルギーを伸ばすことは変えてはならない。足下でいろんな問題が生じているとはいえ、これは(再生可能エネルギーは)導入の黎明期ですので、将来に向けての日本のエネルギー産業を支える重要な役割をになうわけですから、短期的ではなく長期の大きな姿をみすえて、微調整をくりかえしていく。実態を踏まえた修正をくりかえしていくべきだと。そう考える観点からいえば、既存の大きな枠組は変えずに、まずはいまある実態を踏まえた、制度運用の改革から進めていこうと。前回の委員会ではある一定の方向性がでてきた」
 FITの枠組は変えないということは分かりました。しかし我々が知りたいのは、どんな「微調整」「修正」をFITに加えていくのか、そこです。(次回に続く)。