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武末高裕のECOTECH PRESS 技術を見に行く

環境技術と環境ビジネスの少し先を読む

再生可能エネは地熱と風力に力を入れますと、エネルギー基本計画

 4月11日に閣議決定された「エネルギー基本計画」を読むと、タイトルのような重み付けが見えきます。昨年12月に原案が発表されてから、関係者の多くはそう読み解いていましたが、その通りになっていたわけです。

 その訳は再生可能エネルギーの項目で、「風力・地熱の導入加速に向けた取組の強化」(37ページ)として、掲げられていたからです。とくに地熱は原子力、石炭と同様のベースロード電源と位置づけられましたから、これは間違いなく、そういう扱いになるでしょう。

 では、太陽光や中小水力発電バイオマスはどうなっていたか。これらは「分散型エネルギーシステムにおける再生可能エネルギーの利用促進」(38ページ)としてまとめられていました。

 風力・地熱と、その他の再生可能エネルギーの政策的な位置づけに差があることが、ここから透けて見えます。

 では、再生可能エネルギーの将来は、どのような方向に展開されていくのか。そこは今回のエネルギー基本計画では曖昧です。

 そんなことはない。基本計画にはちゃんと再生可能エネルギーに力を入れると書かれているじゃないか。そう反論する人もいるかもしれません。

 確かに、再生可能エネルギーの「政策の方向性」(19〜20ページ)には次のような記述があります。

 

再生可能エネルギーについては、2013年から3年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していく。そのため、系統強化、規制の合理化、 低コスト化等の研究開発などを着実に進める。このため、再生可能エネルギー等 関係閣僚会議を創設し、政府の司令塔機能を強化するとともに、関係省庁間の連 携を促進する。こうした取組により、これまでのエネルギー基本計画を踏まえて示した水準を更に上回る水準の導入を目指し、エネルギーミックスの検討に当 たっては、これを踏まえることとする」

 

 これは、これから3年程度はこれまで通り、FITや助成制度に力を入れていくという意味でしょう。けれども3年程度のことを「将来」とはいいません。とりわけ、FIT(固定価格買取制度)に参入している人たちが知りたいのは、FITの調達期間である10年、20年の間の政策の方向性だからです。

 いや、ちゃんと再生可能エネルギーの将来の数値目標は明示しているとの解説もあります。それは次の箇所です。

「これまでのエネルギー基本計画を踏まえて示した水準を更に上回る水準の導入を目指し、エネルギーミックスの検討に当 たっては、これを踏まえることとする」

 この文章のポイントは「水準」です。ここで言われている「水準」とは何か。その内容は、20ページの脚注で次のように触れられています。

 

 「2009年8月に策定した「長期エネルギー需給見通し(再計算)」(2020年の発電電力量のうちの再生可能エネルギー等の割合は13.5%(1,414億 kWh))及び2010年6月に開催した総合資源エネルギー調査会総合部会・基本計画委員会合同会合資料の 「2030年のエネルギー需給の姿」(2030年の発電電力量のうちの再生可能エネルギー等の割合は約2割(2,140億 kWh))」

 

 「長期エネルギー需給見通し」では13.5%。「2030年のエネルギー需給の姿」は約2割となっています。前者は麻生政権時代、後者は鳩山政権時代に発表された数字です。

 なぜ2つの数字があがっているのでしょうか。この数値は2020年、2030年の目標を意味していると新聞によっては解説しています。

 これが政策的な数値目標というのは、本当でしょうか。もしそれが本当なら本文に堂々と記述すべきでしょう。そのためには原子力発電を含めた電源構成比を示す必要が出てくるでしょう。しかし政府は、それを明確に示せなかった。あるいは、あえて示さなかった。そのどちらかです。

 それが、再生可能エネルギーの将来像を曖昧なものにした。そう判断できるのです。