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技術の現場から技術の先を読む    by MediaResource

素材をものにするならイマジネーション豊富な経営者が必要。カーボンナノチューブは死の谷を越え、あと少しで夜明け。

覚えておきたいこと。

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 素材は発見から普及まで、20年、30年といった、本当に長い時間がかかります。量産技術が確立しても、用途探しに苦労します。手間と費用と時間がかかるのです。短期間で会社の成長を判断するような価値観を持つ経営者には、それはとても我慢ならず、さっさと放り投げるか、切り売りするでしょう。

 それを我慢しながら、コツコツ積み上げていく。そういう作業を厭わない企業が最後にその成長の糧を得るのです。日本が素材に強いのは、恐らくヘッジファンドとか、そういった金融至上主義の経営幹部が少なかったから? まあ、これからは分かりませんが。

 今年も1月29日から国際ナノテクノロジー総合展が東京ビッグサイトで開催されました。もちろん取材しました。

 会場で際立っていたのは単層カーボンナノチューブです。とくに、産業技術総合研究所で生まれたスーパーグロース法で製造された単層カーボンナノチューブの応用製品がいくつも展示されていました。マイクロキャパシタ、銅とカーボンナノチューブの複合材料。カーボンナノチューブを混ぜたフッ素樹脂や導電性ゴムなどなど。どれも際だった機能を発揮しています。

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 スーパーグロース法は産総研の畠賢治氏が2004年に発表した製造技術です。それを日本ゼオンが量産技術に仕上げるため、産総研と共同開発を進めました。実証設備で1日に600gという量産に成功。さらに2015年には本格的な量産工場を立ち上げる計画を進めています。

 NEDO新エネルギー・産業技術総合開発機構)と技術研究組合単層CNT融合新材料研究開発機構は技術普及を目的として、単層カーボンナノチューブのサンプルを無償提供しています(ただし、契約が必要)。

 カーボンナノチューブが発見されたのは1991年。そして四半世紀の時間を経て単層カーボンナノチューブの量産技術の目処がたったのです。カーボンナノチューブ死の谷を越え、もうすぐ実用化の夜が明ける。そんな印象を抱きました。

 ナノカーボンの市場に参入したい。そういう野望を持っている企業は迷わずチャレンジしてください。その時がいまです。