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武末高裕のECOTECH PRESS 技術を見に行く

環境技術と環境ビジネスの少し先を読む

で、アメリカのシェール革命の中心は、いまはガスではなくて、オイルだということ

 シェール(頁岩)という文言が目に入ると、一体、どうなんているのか。いつもそう思います。この数年、アメリカのシェールガスが世界のエネルギー市場に大きな影響を与え続けています。それは分かっているつもりですが、私が感じる戸惑いは、変化のスピードが早いから。そこに理由があるのだろうと思っています。

 実際のところ、シェールガスの唯一の商業生産国であるアメリカはどういう状況になっているのでしょうか。

 アメリカの天然ガス生産量はシェールガスの増産とともに増加しました。2011年には世界一の天然ガス生産国になりました。予測では2020年頃には天然ガスの純輸出国に転換すると見られています。中期的にはこの流れは大きくは変わらないと専門家は予測しています。

 しかしことはそう単純ではありません。いくつかのアメリカの統計資料を見るとそれが分かります。

 頁岩からガスを取り出すには井戸が必要です。井戸は垂直に掘った後、たくさんの化学物質を混ぜた高圧水を噴射しながら水平に掘削し、ガスを回収していきます。その水平坑井の稼働数が減っています。

 2011年末頃は、稼働している水平坑井の数はアメリカ全体で800本弱ありました。しかし2013年以降は400本を下回った状態で推移しています。生産量を搾っているわけです。理由ははっきりしています。シェールガスが供給過剰となって、天然ガス価格が値崩れしたためです。

 さらに、もうひとつ理由がありました。アメリカは2011年末から12年かけては暖冬で、暖房用燃料がだぶつきました。これもガス価格下落のきっかけとなりました。

 その結果、天然ガス価格は一時、1MMBtu当たり2ドル前後をつけるに至ったのです(1MMBtu=100万Btu。天然ガス25立方㍍に相当します)。ちなみにシェールガスの採算ラインは1MMBtu当たり4ドル程度といわれています。

 シェールガス価格はその後、石油・ガス生産会社が生産量を搾ったことで徐々に上向き、最近は4ドル程度で推移しています。

 こうした状況下で石油・ガス生産会社は生産のターゲットをシェールオイルに切り替えました。原油価格は安定しているのでオイルを狙ったほうが利益が大きいからです。

 シェール層にはオイルとガスが入り交じっています。だから、オイル目的といっても、ガスと同じ水圧破砕で汲み上げます。この時、ガスも出てきます。普通ならばこのガスも売り物になるのですが、一部のガス田では燃やして処分するところもあるようです。

 つまり、アメリカにおけるシェールの主役はオイルに移っているのです。アメリカは2014年には世界一の産油国になると予測されているほどです。

 じゃあ、今後、どうなるのか。これが単純ではありません。世界の資源需要とか、国際政治とか。あるいは中国の経済政策とエネルギー政策などなど。複雑で様々な要因が作用しあうからです。

 それに、以前からいわれている環境リスクは依然としてシェール革命にはあります。化学物質が地下水や土壌を汚染するリスクです。

 かつてアメリカは土壌汚染問題に先駆的に取り組み、きわめて厳しい土壌・地下水の汚染を防ぐためのルールを設けた国です。ですから、こういった問題には敏感なのです。

 では、日本にはどんな影響があるのでしょうか。