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都市鉱山から金を掘り出す、炭素を使った新しい分離技術

これは早く実用化して欲しい。金のリサイクル現場を取材した経験がある私は率直に、そう思いました。

 少し説明しておきますが、入れ歯や電子部品などから貴金属を回収するのは、日本のような資源小国では重要なことです。しかし金や銀などの回収現場の環境は相当きついモノがあります。大量の薬剤を使うため、臭いがすごく、しかも硫酸などの劇薬ですから、リスキーです。廃液処理も必要です。けれどもこの方法なら、そのいくつかは軽減されるでしょう。

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 方法とは塩素化による金の選択的分離回収技術です。秋田大学大学院工学資源学の菅原勝康教授が開発。その概要がJST(科学技術振興機構)で報告されました。簡単に言えば、複数の金属元素の中に混じった金を簡単に素早く分離、濃縮する技術です。

 ベースは塩化揮発法です。金などを含んだ部材や焼却灰に塩素ガスを供給しながら加熱し、金を揮発させて回収する方法です。塩素ガスを供給すると通常よりも低い温度で揮発するため、レアメタルなどの分離濃縮技術として、近年、注目されています。

菅原教授は塩化揮発法に、さらに炭素を供給する方法を考案しました。どうなるか。一般的な塩化揮発法だと600℃から金は揮発します。ところがこれに固体炭素を供給すると金は300℃から揮発し、700℃で全量揮発することが分かりました。しかも700℃以上で揮発した金は全量が炭素に捕捉されていました。

 ガスの雰囲気と反応温度を制御すれば、揮発した金を全量、トラップできる。そのための条件を最適化したいと、菅原教授は語っています。

 日本には工業製品として保有されている「都市鉱山」の金はざっと7000トンあると試算されています。これは世界の金の埋蔵量の約17%に相当します。「都市鉱山」から金を簡単に発掘できれば、日本は本当に世界一の金の国になります。

 簡単に、環境負荷をかけずに金を回収する技術。期待したいです。ちなみに下水汚泥にも金は僅かですが含まれています。いろんなところに金脈はあるんですね。