ECOTECH PRESS 技術を見に行く

技術の現場から技術の先を読む    by MediaResource

炭素繊維を使用した旅客機では、客室乗務員の仕事が少し楽になる

炭素繊維の大口市場として期待されているのが自動車、そして航空機の分野です。日本は炭素繊維の生産だけでなく、航空機分野への応用という点でもかなり先行しています。 ボーイング787は炭素繊維複合材料を主翼などに投入することで、大幅に軽量化されま…

ウェアラブル用の生体センサーに天然素材を使う意味。

写真は住江織物が開発中のセンサー用の布帛(ふはく)電極です。金属メッキをほどこした繊維を織り込んでいるため、導電性があります。これを身体に触れる衣類に埋め込めば、心拍数などの生体情報を計測するセンサーとして活用できます。 この布帛電極に前回…

健康茶の原料が衝撃に強い天然樹脂に生まれ変わるまで

改めて、日本の素材開発力はすごいなと思いました。日立造船のトチュウエラストマーという素材です。エラストマーは弾性体の高分子のこと。要するにゴムです。 トチュウは落葉広葉樹の杜仲のことです。その葉は杜仲茶の原料になりますが、葉や種子の果実など…

くれぐれも最後まで慎重に、補助金の手続きは。

この仕事を長く続けていると、いろんな事態に遭遇します。しかし、それは私にとっても初めての経験でした。 中小企業経営者にインタビューしていた時のことです。公の補助金を利用して設備を導入した、その経緯を私は取材していました。 取材慣れしていない…

ナノファイバーを樹脂に混ぜると、ユーザー企業はそれを気にする

答えは「色」です。もう一度、前回記事の写真を参照してください。最初の写真はセルロースナノファイバーだけで作ったもの。ナノファイバーの純度が高いものほど透明になっています。 ところが、ナノファイバーを樹脂に混ぜるとどうなるか。それが2番目の写…

ナノファイバー開発者の共通の悩みがあった

植物から取り出すセルロースナノファイバー(NC)は、すこぶる魅力的な素材だけど、応用製品を開発している技術者たちには共通の悩みがありました。それが何かは、この写真から分かるかもしれません。もちろん、他にも悩みはあるわけだけど、まずは見た目…

不老不死ではないけど、細胞の寿命を延ばす白い粉

10日たっても2割の細胞が生きていた 昨日のエントリーの続きです。白い粉は魚から抽出した不凍タンパク質、AFP(アンチ・フローズン・プロテイン)です。この粉を加えた細胞保存液にラットの膵島細胞を入れて、どのくらい細胞が生きていられるのかをテ…

ナノテクはイマジネーションが命だ。

4月1日、本日、復帰しました。またスタートです。 もう、2カ月以上前になりますが、1月に開かれたナノテク展のことを少し振り返ります。 この手のイベントは見る側にイマジネーションを要求します。素材がメインの世界ですから、どうしても顕微鏡とか化…

イチゴ容器の大学発ベンチャー、工農技術研究所がスタート

昨年12月にこのwebで掲載したイチゴの1個入り固定容器の事業が新たな段階に入りました。宇都宮大学発ベンチャー企業として、合同会社工農技術研究所(栃木県宇都宮市)が正式に認可されました。 この会社は宇都宮大学農学部准教授の柏嵜勝氏、工学部教授…

切ったら美しいリンゴ、健康食材のタマネギ、2倍も実がなるナシもありました。

アグリビジネス創出フェアの追加レポートです。やっぱりユニークさとか、機能性といったものがどうしても目につきますね。 サプライズ的見た目の美しさを狙うリンゴ こんなリンゴもあるのかと、ちょっと驚きでした。見た目は確かにユニークです。「つがる」…

東京に出張中でもイノシシ、サルを捕獲できる害獣駆除システム

害獣駆除とICT(Information and Communication Technology)。この組み合わせはやはり気になります。つい、ブースの前で足を止めました。「まる三重ホカクン」です。三重は「みえ」と読むので、「まるみえホカクン」となります。三重県農業研究所、鳥羽商船…

海外輸送でも傷まない、イチゴ1個の専用容器が市場へ

すぐにでも欲しいという企業がいくつもあるとの話でした。イチゴを1個だけ入れて固定する透明な容器です。なぜこんな容器を作ったのか。その訳はパンフレットの「イチゴの傷みを防ぐ」「逆さにしても外れない」とのコピーからもうかがえます。 イチゴは指で…

風船方式で、世界で一番安い太陽集熱装置を作る

いまや日本の農業は、付加価値の高い農産物だけでなく、農業機械や栽培技術の輸出など、海外戦略の目玉になっています。今年も「アグリビジネス創出フェア」(11月12日〜14日)が開催されました。やはり関心は高いですね。ということで、取材してきました。 …

新エネルギー対策課の元課長は、やってみなきゃ分からないことがたくさんあった、と語った(その4)

今回は、なぜ太陽光発電が年度末かけこみ認定の圧倒的多数を占めたのか。その直接的な原因の残りを分析します。 50kW以上の太陽光発電に6カ月ルールが適用 経済産業省資源エネルギー庁は平成26年3月28日付けで、「平成26年度の認定運用を変更します」という…

いびつなまでに突出した太陽光発電の理由。

接続回答保留は太陽光発電に集中して申請があったから 新エネルギー対策課長は何を語ったか。その3です。今回は接続回答保留になった直接的な原因である、系統への接続申し込みが急増した理由を整理しておきます。 予想をはるかに超える事業者から電力会社…

新エネルギー対策課長はFITの接続回答保留問題で何を語ったか。その2

接続保留はFITの問題と系統側の問題の2つの視点で見る FITと接続回答保留問題の続きです。そもそも、なぜ接続回答保留の問題が起こったのか。よくよく見ると、ストーリーそのものはしごく単純な構造です。 たとえていば、年度末になって、予想をはる…

新エネルギー対策課長はFITの接続回答保留問題で何を語ったか

再生可能エネルギー市場は政策でどうにでもなる、官製市場です。政策の舵取り次第で状況は一変します。言い換えれば、まだ独り立ちできていない市場というのが業界の人たちの認識でもあります。 それが突出して現れたのが今回の接続回答保留問題でした。九州…

世界の原油価格は下落傾向にある、その要因はなに

JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)のブリーフィングが10月23日、開かれました。その中で原油相場の分析も発表されていたので紹介しておきます。 石油の値段が下がって、木質チップ事業がやられた過去 その前に環境技術と原油相場の関係です。CO…

燃料電池自動車を使ったV2Hが誰でも可能に

V2H(Vehicle to Home)は自動車から家等への給電を行うことですが、これまで燃料電池自動車で行う場合は電気事業法の制約がありました。燃料電池自動車のV2Hは事業用電気工作物扱いで、保安規程の届出や電気主任技術者が必要だったからです。 これで…

固定価格買取制度でいま何が起こり、何をしようとしているのか。

過剰な動きがあると、それを抑制する動きが必ずでてきます。作用と反作用。固定価格買取制度(FIT)はまさに、その典型的な動きをしています。もちろん、九州電力などが表明した、FITにおける再生可能エネルギーの接続保留問題のことです。 発端は九州電力が…

林地残材のトドマツの葉から浄化剤を作ったエステーは地元の救世主か

もう1カ月ほど前になりますが、イノベーションジャパンで見かけた技術のことを紹介しておきます。こういった展示会には珍しく、このブースでは販売中の商品がずらりと並べられていました。 (抽出装置の映像。手前はトドマツの葉と精油の瓶) 知ってる人も…

揺れると発電するモジュール、ウエアラブルメガネ

CEATEC JAPANその3です。最後は,オムロンの振動発電モジュール。それからコニカミノルタのメガネ型シースルーディスプレイです。 振動で発電するセンサー 振動を開始すると右下にある温度計が表示され、発電しているのが分かります。下の写真は分解したモ…

鍵をなくしても開けられるドア、赤ちゃんの生活記録端末など。CEATECです

CEATEC JAPANの続きです。意外性のあるハードが結構ありました。IoT(internet of Things)製品もずいぶんあります。この分野はますます増えていくのでしょうね。 それから、もし、あなたがこういった展示会で、開発した技術者や研究者に直接、話を聞きたい…

卓球ロボット、高齢者も安心な見守りベッドなどなど、今年もCEATECです。

CEATEC JAPAN 2014です。千葉の幕張メッセで10月11日まで開催されました。駆け足ですが、目にとまったものを簡単に紹介します。 風の変化がLEDで見えるボード ボードに仕込まれている温度センサーが風の動きを温度変化として感知し、LEDを光らせ、風…

再生可能エネルギーの国際展示会で気がついたものたち。

7月27日から、再生可能エネルギー国際会議と展示会が東京ビッグサイトで開催されました。PV JAPAN 2014も同時開催されたためか、太陽光発電関連が目立っていましたが、その他の再生可能エネルギーの展示もありました。 あわせて開かれたセミナーでは、固定価…

蓄電紙の背景にある、セルロースナノファイバーとは

パルプ繊維で作った電極紙、蓄電紙は大きなくくりでいえば、セルロースナノファイバーの世界です。紙はパルプ繊維の集まりですが、詳細に見れば、ナノレベルの繊維の集合体であることがわかります。それがセルロースナノファイバーです。 いま、セルロースナ…

紙のように作る、鉛筆の芯と古紙で作るフレキシブルな電極材料

私の中では、今年上半期の興味深い技術トップ10に入る研究です。どこにでもある、ありふれた材料で高性能の蓄電材料が製造できからです。主要な材料は紙と鉛筆の芯。研究しているのは、大阪大学産業科学研究所特任助教の古賀大尚氏です。 紙の原料はパルプ…

成形スピードは10倍、でも省エネ。薄膜樹脂の高速成形法

ニッチな技術に見えますが、こういう細かな技術改良を諦めないところに、日本のモノ造りの肝がある、そう思います。 それは金型から押し出される溶けた樹脂の流れを撮影したビデオでした。樹脂の流れには不連続に、らせん状の渦のような乱れが発生しているこ…

中国とロシアの天然ガス合意は10年前からの懸案だった。

ウクライナ情勢の緊張によって、ロシアは中国などの東方政策を重視する戦略をたてている。それが今年5月、ロシアと中国の天然ガス合意の背景という論調が一部でありました。しかし長期にわたって市場を見ている専門家によれば、そんな単純な話しではないよ…

減るどころか増えている、ヨーロッパのロシアに対する天然ガス依存度

7月17日、むごたらしい「殺人」がウクライナ上空1万㍍で起きました。世界は緊張しました。アメリカ、EUはロシアと決定的な対立へと進む。そう想像した人たちもいました。もちろん、それは悲劇とそれがもたらす悲しみ、怒りがもたらす当然の見方でしょ…